演出・助演出に聞く! 〜アンケート回答編〜


――公演が終わって約2週間、演出と助演出の2人が、ホンネを交えて質問にお答えします!

 柿:柿澤晟也
 今回の演出。
 過去公演 2011年:新入生公演(父役)、11月公演(怪人役)、3月公演(マスター役)
 2012年:6月公演(父役)



 是:是氏
 今回、脚本・助演出を担当。
 過去公演 2011年:3月公演(脚本・演出)
 2012年:6月公演(犯人役)





「まずは公演お疲れ様でした!」
「はい、お疲れ様でした!」
「本当はもう一人インタビュアーを立てたかったんですが、ご都合上この二人だけで(笑)」
「そうですね(笑)」
「いきなり質問に入るのもアレなので、公演が終わったことについて何かありますか?」
「そうですね、何というか、初の演出ということで。九月の末に脚本が決まって…それから二ヶ月ですか?」
「二ヶ月は短かった! 逆によく二ヶ月であそこまでやり遂げたと思います。」
「他の公演に比べて、脚本長かったしね!」
「申し訳ないです…」
「僕はいいと思うんだけど(笑)。今回はその二ヶ月の間に、茨苑祭もありましたし。
  終わる前から言ってるんだけど、本当に(二ヶ月は)短かったです。あっという間でした。
  公演内容はさておき、ようやったもんだと(笑)
  ほんとうに役者の皆様もスタッフの皆様も、ハードスケジュールのなか頑張ってくれました。
  本当にありがとうございました。」

「ありがとうございました。
  さて、では今回の企画の大目玉、アンケートに書いて頂いた、お客様からの質問に移って行きましょう。
  社会人・女性の方からです。」

「ありがとうございまーす!」
『間違えていたらすいませんが、鈴々子さんはこの間のコントでツインテールをしていた方ですか?
  だとしたら全然雰囲気が違って凄いなぁと思ったのですが』

「はい。ズバリ、その通りでございます。茨苑祭のコント祭りに来ていただいた方は分かるかと思うんですけど。」
「長編コントでしたっけ?」
「高橋知也作:「Bullet In Black!」で。
  ちょっとおっかない感じの、でもちょっとかわいい感じの…リンちゃんと言う役ですね。
  ツインテールでやっていたあの人ですね。
  慧眼でございます、ありがとうございます。」



「では続いての質問ですね。茨大2年・女性の方からです。
  『どこがアドリブでどこが台本なのか気になりました』

「なるほど。」
「ちなみにこの質問が寄せられたのは一回目です。一回目といえば…」
「水曜17:30からの回ですね。そうですね、どこがセリフでどこがアドリブだったか…(笑)」
「(笑)」
「これはまぁ、うん(笑) 良くも悪くも、アドリブはありました(笑)
  演出から言えば、大筋は逸れてなかったので特に気にしなくてもいいアドリブだったと思いますが。」

「要所要所のネタは脚本でしたし。言ってしまうと、椅子を店員に頼むと言うアドリブが…(笑)
  それ以外は僕あんまり覚えていないんですけど。」

「言っちゃっていいんですかこれは(笑)」
「いいんじゃないですか、全部終わってるんだし。」
「あの、一回目を観に来て下さった方は分かると思うんですけど、暗転が開けて喫茶店になったシーンで、
  舞台下手(客席から見て左)側には椅子がちゃんと二つ並んでて。上手(客席から見て右)側には椅子が二つ、
  "無い"状態で始まっていて僕はもう明転した瞬間に目を疑いましたよ(笑)
  声には出せませんでしたけど、顔強張っちゃって。正直、あの時は『終わった』と思いました。」

「(笑)」
「杉村さん席についちゃって。河合くんとノゾミちゃん出てきちゃって。
  これ二人どんな反応するんだろうと思ってよーく見てたんで分かったんですけど、
  ノゾミちゃんはもう、ピクッてなってましたよ。「えっ?」みたいな感じで(笑)
  でもまぁあの後よくあそこからサルベージ出来ましたよ(笑)」

「ちょっとグダったけど、本当によく…(笑)」
「『店員さーん、椅子どこー?』からの『セルフサービス椅子』って、椅子がセルフなわけねーだろ!っていう(笑)
  そんな店ねーよそんな演出もねーよっていう話ですよ(笑)
  まぁ今となってはいい思い出ですと締めくくっておきます。」

「アドリブは他にありましたっけ。」
「杉村さんがお客さんに『僕何か酷いこと言いました?』って聞きに行くのも、あれは事前から決めていた
  お客さんいじり。まぁ一応あれもアドリブですね。
  杉村さんに全権を委ねて、場転が終わるまで好きにお客さんをいじっていいですよと言う指示をだして。
  何か途中からチョコを配り始めましたけど(笑)」

「4回目と5回目だけでしたけど。」
「会場内飲食禁止って言ってるのに!」
「でもウケてよかったですね、あのシーン。」
「本当に。お客様も反応していただいて本当にありがとうございました。」





「では続いて。茨大2年生・男性の方です。
  『博士は吸われないのか?』。これは夢を吸われないのか? と言うことかと。」

「そうですよね、確かにメンテナンスとか実験とかしてるのに、博士だけは夢は吸われないのか? と言う。」
「僕の方で設定は考えてはいるんですけど、演出はどう思います?」
「まぁ、開発者ですからね。絶対後付だろうと言われそうですけど、夢の吸収を回避する、
  なんかヤバイお注射なんかやっちゃってるかもしれないですね(笑)
  それか、博士の夢は認識しないように、とか。或いはもう、『叶わぬ夢ではなくなった』と言う河合くんのセリフ。
  ドリキャスを三ヶ月も運用している間に叶わぬ夢ではなくなった、とあるんですが、
  もうその時点で夢は吸われてしまっていた…のかもしれませんね。」

「なるほどそういう解釈も。」
「それで、叶わないような夢が無くなってしまった。
  こういう、何でしょうね、自己矛盾と言うか、自己崩壊と言うか、アポトーシスっていうんですかこういうの。
  かっこよく言うと(笑)」

「細胞自殺ですか(笑)」
「まぁ、マルトノ博士にとって、ドリキャスと言うのはアポトーシスのようなものであったのではないかと。
  と、僕は考えます。今。」

「なるほど。僕の解釈はまぁ、簡単に言うとサルベージしているっていう設定でやろうと思っていたんですけど。
  そのためのセリフを用意するのもグダりそうだし入れてませんでした。」

「つまり、吸われるたびに、再吸収していたと言う。まぁそれが一番シンプルでスッキリするような気も。」
「でも、脚本家が意図しない、色々な解釈が合って良いと思うんです。そこを考えるのも醍醐味だと思うので。」
「なるほど。」


「では、続いての質問です。これ一番面白い質問で僕も嬉しいんですけど。
  茨大生2年、女性の方からです。
  『はじめ、鈴々子がフロイトの言葉の紙を見つけますが、これはカシヲくんの書いたものですか?』

「ほぉ!」
「これ本当に面白い質問で。こういう深読みとかしていただくの本当に大好きなんですけど。」
「冒頭のフロイトの言葉、『夢は現実の投影であり、現実は夢の投影である』と言う、この劇で最も大事な言葉。
  一番聞かせたかったセリフだったので、皆さんも覚えてらっしゃるかもしれませんが。
  その紙はトシヲの死別してしまったお兄さん、カシヲくんの書いたものか、と。そうですね、」

「これ、恥ずかしながら書いた当初そこまで意識していなくて。後付け設定考えたりしたんですけども。」
「まず、あの辞書が誰のものなのかと? 
  ここ数年は鈴々子さんの物ということになっているんでしょうけど、
  カシヲくんから貰ったものだったりするんですかね?」

「そう考えると、自分でも意図していなかった解釈が更に湧いてきて。
  カシヲくんの辞書を使って、夢とはなんだっけ。って夢を推し量る鈴々子さんが…なんか…語彙力が足りないな、
  分かります?」

「なるほど。意図しないところで非常になんか文学的な表現が産まれてしまっていたと。
  まぁ他の観点から見ても、僕はカシヲくんの書いたものだと思ってるんですよ。
  じゃないと、あの紙をいつ挟んだのかと言う。」

「(笑)」
「まず辞書なんて人前で読むものじゃぁ無いでしょう。
  だとしたら、カシヲくんが鈴々子さんの部屋に入ったことがあるって言うことになりますよね。」

「アラ!」
「ちょっと…やらしい話(笑) その間隙を縫って、あの辞書にサッと紙を挟みこむカシヲくん…」
「怖いですね(笑)」
「イタズラっ子なのか、もしかしたら未来を予知していたのか。遺言にいい言葉でも書いてあげようかっていう。
  予知夢でも見たんじゃんないですかー?」

「夢茶☆苦茶だけに?(爆笑)」
「そういう面白いことも言えますけど(笑)」
「じゃあまぁ、カシヲくんのものだと考えたほうが自然ですかね。」
「そうですね。で、カシヲくんが大切だ思っていた言葉を挟み込んでいたと。
  文学少年だし。哲学者の本とか呼んでそうなイメージありますし。
  なので僕はあれはカシヲくんの書いた紙だと思っています。」



「なるほど。では次の質問です。風ノ街OB・男性からです。
  『パネルがびっくりした。あれ毎回変えるの?』

「はい、これはもう本当に舞台美術さんには本当に申し訳ないことをしたと思っているのですが。
  あのぶち抜いてるパネルは、毎回変えています。
  今回は会場が平日は20:00、土日は17:00までしか使えないと言うタイトな中で、壁を一公演終わるごとに
  一回ずつ、取り替えてくださいというなんとも鬼畜な依頼を、なんとも卒なくこなしてくれた舞台美術さん。」

「時間足りるかな、とは言ってましたけどその他は文句ひとつありませんでしたね。」
「やってみたら本当に素早くすんなりとやっていただいて。本当にありがとうございます。
  チーフにはもう感謝感謝ですね。」

「で、あのパネルなんですけど。何で出来ていたんでしたっけ。」
「まぁアレは秘密でもなんでもなくて、見る人が見れば一発で分かると思いますが、石膏で出来ています。」
「石膏ボードですね。」
「某ホームセンターY新で買ってきた石膏ボードです(笑) 石膏をぶち抜いたら、インパクトも強いんじゃないかと。
  蹴るのは鈴々子さんなのでぶち抜きやすいように色々工夫をしていただきました。」

「水曜日の一回目は、ちょっと手こずってしまいましたけど。」
「足だけ出てきちゃいましたもんね(笑) 二回目以降は蹴り方を改善したのでドーンとうまくいきましたけど」
「千穐楽はほんとうに綺麗にいって。」
「そうですね。」
「綺麗すぎて、杉村さんがちょっと苦戦してましたけど。」
「そうですね(笑) あれは本当に舞台美術さんのご尽力による賜物ですし、
  それから毎回蹴っていただいた鈴々子さんのお陰ですね、脚力も上がったんじゃないでしょうか。」



「では、アンケートに書いて頂いた質問はこれで最後になります。社会人・男性の方からです。
  『博士の変な動きが面白い、演出ですか?』

「このアンケート、三回目に書いていただいたものなので…」
「ダブルキャストの、林信希の回ですね。」
「えー、博士のあの動きはですね、演出ではないんです! あれは彼の生まれ持ったものです。天性の動き!」
「あれはちょっとズルいですよね。」
「あのー、何というか。本当にコミカルな動きというか。何でその動きになるのか僕も分からないんですけど(笑)」
「三回目と言うと、公演終了後に博士役のキャストに話しかけていた方がいらっしゃって。
  普通に話しかけていたので僕はキャストのおじさんかお父さんかな、と思ったんですけど。
  本人に聞いたら全然知らない人だと。『あのへんな動きは、博士は実は裏設定ではロボットなのではないか?』
  とキャスト本人に質問していた方だったようです(笑)」

「あー、それはちょっと面白い読みですね(笑)」
「動きからもそういうの読み取ってもらえたりするのは面白いですね。」
「そうですね。実は博士はロボットだったんです! …まぁそんなことはないんですけど(笑)
  そうですね、僕は何も指示は出していないのですがキャストの方で色々示し合わせて面白い動きしてくれて。
  独自にやってもらって、面白かったのでそのままやってもらったと。
  今年の一年生は本当にお笑い方面に特化しているというか、真剣に考えてもらってありがたかったですね。」

「ですね。さて、以上で質問が、終わってしまいました!」
「あら。ではそろそろツイッターから受けた質問の方に…」
「そうですね、ツイッターにて受けた質問、なんと…0個です!」
「あッ! なんと!」
「なんと!」
「そうですね、はい。あれですね、質問が少ないということは分かりやすい内容だったんじゃないでしょうか(笑)」
「そんなことは(笑)」
「二時間弱の公演ということで、皆さん質問する元気も残らずに、
  帰ってシャワー浴びて寝てしまわれたのではないでしょうか(笑)」

「ヒー(笑)」

……後編へ続く!



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